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001...瞬きがつい、可愛くて

男の子、ってのはいくつになっても可愛いものなのかもしれない。

現在、移動中のアーガマの片隅で、呆れるような会話がなされている。メンバーは私、さやかちゃん、リュウセイくん、それから甲児くん。4人でお茶をしていたはずが、甲児くんとリュウセイくんは私とさやかちゃんをそっちのけでマジンガーとゲッターロボの話に熱中している。
訂正。リュウセイくんはこの場にゲッターチームがいないから甲児くん相手にゲッターのアレコレをまくしたてて、最初はウンザリしてた甲児くんがムキになってマジンガーのことを話し出して、で、それにリュウセイくんが食いついて、今に至る。
温くなってしまったお茶を飲み干してもその勢いは留まることをしらない。話の内容に関しては、あまりにマニアックすぎるので割愛します。というかわかんないし。
全員のカップが空になってしまったのに気づいた私は、立ち上がってもう一度お湯を沸かし始めた。

「手伝うわ」

さやかちゃんも私の方に来て、茶葉とかミルクとかを用意してくれる。

「あ、大丈夫だよ?」
「いいのよ!向こうにいたって話についていけないし」
「あはは・・・そうだね・・・」

苦笑しながらテーブルの甲児くんとリュウセイ君を見れば、身振り手振りを交えてあれやこれや話し込んでいる。多分、私達がお茶を淹れなおしてるのにも気づいてないんだろーな。瞬きするのも忘れてさ。

「何であんなに盛り上がれるのかしら・・・不思議よねぇ、ジェーン?」

さやかちゃんは肩をすくめてみせた。

「え?でもさやかちゃんも乗ってるじゃない、アフロダイ」
「そりゃあ、そうだけど・・・だからってあの人たちと一緒にされるのはちょっと心外よ。大体、パイロットがみんなあんなんだったらウンザリね」
「うーん、確かにクワトロ大尉とかはそういう話、しないよね」
「でしょー?そういう人の方が多いと思うわ」
「でもさやかちゃん、お父様が研究者なんだから、あんまり言うとかわいそう」
「・・・そう、かしら?でもお父様はあんなんじゃないもの」
「あんなん、って・・・でもきっとさ、甲児くんとかの歳の時にはああいう風だったんだよ、絶対!」
「想像できない・・・」

さやかちゃんは紅茶の缶を開けながらまたも肩をすくめてみせた。ヤカンがシュンシュン音を立てている。
ポットに茶葉を入れて、お湯をほんの少し注いで蒸らす。おいしいってみんなに言ってもらえるように、パイロットじゃない私は、休憩中ぐらいみんなが寛げるように頑張る。
・・・あの二人が寛いでるのかどうかはわからないけど。

「本当、時間も忘れて話し込んでるよね」
「・・・そういえばお父様もご飯も食べずに研究に没頭するときがあるわ」
「みんないくつになっても“男の子”なんだよ」
「クワトロ大尉も知らないところでそんな話してたりして!」
「してるかも!だって百式、金ピカなんだもん!」

私とさやかちゃんは、フフフ、と顔を見合わせて笑った。
男の子たちは、まだ話が尽きないらしい。紅茶を淹れ終わった私達はカップとミルクと砂糖を持ってテーブルに近づいた。

「あ、ありがとう。ジェーン、さやかさん」
「どういたしまして」
「なあなあ甲児、聞いてみようぜ?」

リュウセイくんが大きな目をキラキラさせて言った。紅茶を配り終えて、私とさやかちゃんも腰を下ろす。

「聞くって・・・どうせ、マジンガーとゲッターのどっちがいい?とかでしょ?」
「ジェーン、鋭いな・・・」
「二人とも分かり安すぎるのよ・・・」
「そうかなあ?俺は、甲乙つけがたいけど合体があるからゲッターだよなあ・・・合体は男のロマンだよなあ・・・」
「悪かったな、マジンガーは合体しなくて」
「あれ?マジンガーって合体しないの?」
「ジェーン、それ・・・パイルダーのこと言ってるの?」

さやかちゃんも甲児くんもちょっと呆れたように私の方を見ている。
だ、だってみんなが闘ってるところなんて見ないし・・・。リュウセイくんは笑ってる。失礼な。
ちゃんと説明してもらうと、そのパイルダーとかいう乗り物?がマジンガーの頭に乗っかって初めてマジンガーは動くのだそうだ。へえ。甲児くん、けっこう危ないところで操縦してるんだ。

「ごほん!なあ、二人はマジンガーだよなあ?」
「私は、お父様への義理があるからじゃないけど、やっぱりマジンガーかしら」
「さすが!さやかさん!」
「えー・・・?さやか、合体はロマンだぜ?」
「男の、でしょ?私もジェーンも女だもの!」
「そうだよ、ジェーンはどうなんだ?マジンガーだよなっ!?」
「え?ええと・・・」

困ったなあ。私、マジンガーもゲッターも見た感じしかわからないからなあ・・・。
それにしてもこんなに熱くなれるってすごいなあ。なんだかんだでさやかちゃんも話に加わってるし。

「あ、何笑ってんだよこいつ!」
「リュウセイの顔がおかしかったんだろ」
「それを言うなら二人ともでしょ?」

「ごめんごめん、だって・・・」

- end -

20080719

次はガールズトークみたいなのも書いてみたい。それについていけない甲児くんとリュウ!