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032...私、脱いだら凄いんです。

「ねたましい」

ここは基地の食堂の隅っこで、ついでに現在時刻は丁度お昼時で、そういうラッキーだかアンラッキーだかな偶然が重なったおかげで、わたしはなんとガトーさんとお昼をご一緒することが出来ている。
「――何?」
今日は天気も良くて、壁一面ガラス張りの窓から明るい日差しが差し込んで、目の前のガトーさんの髪も顔も手も照らしている。
プレートの上にキレイに盛り付けられたポテトサラダがやけに美味しそうに見えるのは、この人の盛り付けの手腕のおかげなのか、はたまたこれも明るい日差しの所為だろうか。
ああ、ねたましい。
「だからさっきから何が“ねたましい”んだ」
「…………えっ?」
もてあそんでいるフォークの隙間から、怪訝な目がコチラをみている。
「おい、ジェーン……」
「あれ、わたしひょっとして、声に出してました?」
ため息をつかれたということは、答えはYESなんだろう。
「あれー……」
やっちゃったなぁ、と、俯いたフリをしてレタスの上に散らばったとうもろこしをつついていると、「みっともない」と叱られた。
「えへへー、ごめんなさい」
「……それで何が、ねたましいんだ」
お冷の入ったグラスを、陽射しから遠ざけるようにスライドさせながらガトーさんは尋ねてきた。
指先の動きに合わせて、ゆっくりと影もうつろう。
「いやぁ、その、男の人にしておくにはねたましいほどの髪の色と肌の白さと手のきれいさだなあと」
思いまして。
ちら、と上目遣いに様子を窺うと、「馬鹿じゃないのか」と言いたそうな(少なくとも、思ってはいるだろう。確実に)目がわたしを見下ろしていた。
馬鹿にしたとか、そういう風に思われてない分ラッキーかもしれない。ガトーさんはほら、女の人みたいとかそういうこと言うと怒りそうなタイプだと思うから。
……一応フォローしておこう。
「わたしなんて、ほら、髪はなんだか変な色だし」
「それは自分で何度も染め直しているからだろう」
「……肌もやけ気味だし」
「ここ数日、訓練も等閑に外でスポーツをしているからだろう」
「……ああっと、手もほら、荒れてますし」
「……それは、自分の仕事をしているからじゃないのか」
あれ。
「……実はけっこうわたしのこと見てます?」
あっ、詰まってる。
「今日は暑いな」
「気温は20度もありませんよ」
頬に赤みが走ったのを見逃すはずもないです。
でもこれ以上いじめると報復が怖いので、今日はこのくらいでカンベンしといてやらぁ、ってやつです。
「じゃーん!5連団子!」
フォークの歯にとうもろこしを五つ、連ねたのを見せるとまたしかめっ面に戻ってしまった。
こういうことやめればちょっとはつりあうかなって、それはわかっているんだけど、やめられないのもまた事実。なのよね。

- end -

20110204

どうせ銀髪が好きです。ガトーは育ちがいいと思っています。