拍手御礼リサイクル:その1



琉夏

「まつげと、まつげが触れるのをバタフライ・キスって言うんだって」
「ふーん」
「なんか、ロマンチックでキレイな言葉だよね」
「そう?」
「そうだよ」
「でも睫と睫って無理じゃない?試す?」
「え…………!! る、琉夏くん!近いよ!」
「だって近づかないと無理じゃん」
「だからって……ん!」
「……うん、近づいても無理だった」
「――もう!」

(butterfly kiss)

琥一

「……ん?」
「お?起きたか」
「……え、私、寝てた?」
「ああ。まだ時間あるから寝とけ」
「わ、悪いからいいよ……目も覚めたし」
「……そうか」
「……それにしても」
「どうした?」
「なんか、すごくいい睡眠だったのかな……心地よかったの」
「…………そうか」
「あ、撫でてくれてた?」
「……別に」
「ふふ、照れることないのに」
「ああ?」

(毛繕い)

不二山

「舌の色がかわる飴ってあったよね」
「……ああ!あったあった。青とか緑とか、宇宙人だーって言ってたな」
「まだあるのかなぁ」
「さーな。でもカキ氷食ってもなるから、普通の飴でもなるんじゃねーの?」
「そうかも!今ね、チョコレート味の食べてるけど、茶色になってるかな?」
「見てやろっか?」
「ん」
「あー、なってない。残念」
「ちぇ」
「でもチョコレート味にはなってるかもな」
「へ……――!?」
「うん、甘い」

(舌先のキャンディ)

新名

「ねえねえ新名くん」
「なにー?」
「ちょっとかがんで?」
「んー?内緒話?」
「うん。すっごく大事なこと」
「大事なこと?」
「……というのは嘘で、」
「――でわぁっ!?」
「あはは!変な声!」
「え、いま、チュッて……あっ、ちょ、逃げ……もーーー!!」

(耳打ち)

紺野

「全く……熱があるならそう言わないと……」
「すみません……」
「もう遅いから、明日はちゃんと病院に行かないとだめだよ」
「病院……うう……」
「あれ、病院嫌い?」
「……です。でも一緒に行ってくれるなら……行きます」
「珍しいね、そういうこと言うの」
「う……だめですか?」
「ううん。じゃあ明日の朝、迎えにくるよ」
「やった!じゃあ、約束です」
「うん、約束」
「でもほんとは、もっと一緒にいたいです」
「……なんだか子供みたいになってるね」
「……今だけ、です」

(ゆびきりげんまん)

設楽

「何作ってるんだ?」
「モンブランです」
「ああ……これ、マロンクリームの香りか」
「はい。裏ごしするの大変だったんですよー」
「だろうな」
「出来上がったら、お茶にしませんか?」
「それはかまわないけど……美味いのか、それ」
「ちゃ、ちゃんと分量はかってますし、」
「味見してやろうか?」
「――あ!」
「……及第点」
「ゆ、指……」
「……うるさい」

(つまみ食い)

太陽

「だーれだ!」
「うわっ!……え、えっ!?」
「はい、5、4、3、2、」
「あ、あの、せ、先輩ですよね!?」
「なーんだ、ばれちゃったんだ」
「いい、いきなりなんですか?」
「ちょっとおどかしてみただけだよ。声でわかっちゃったのかな……残念」
「え、試したんですか?」
「そういう意味じゃ……」
「で、でも僕、声がなくても先輩の手はすぐわかりますから!」
「へ?」
「先輩の手、あったくて、やわらかくって!」
「た、太陽くん、声が大きいよ……!」

(目隠し鬼)

藍沢

「……また笑ってる」
「ん?」
「先生、時々ソファーを見て笑うんです」
「……そうなのか?」
「え、気づいてなかったんですか?性質悪いなあ……」
「おいおい、酷い言われようだな。それで?」
「ソファー見て、笑ってるのってわたしが寝てたの思い出して笑ってるんでしょう?」
「…………」
「ほら、あたりだ」
「はずれじゃないが、別におかしくて笑ってるわけじゃないぞ」
「え?」
「天使を捕まえられたのがうれしいだけさ」

(思い出し笑い)

「あれ……?」
「どうしたの?」
「消しゴム、忘れちゃったみたいなの……」
「それなら、俺のを使うといいよ」
「え?でも……」
「ほらいつか、俺が君のペンを借りたことあっただろ?」
「うん……?」
「あれから俺、予備の筆記具も筆箱に入れてるんだ」
「そうなんだ?」
「うん。そういうわけだから、遠慮なく使ってよ」
「ありがとう、平くん」
「どういたしまして」
「ふふ、でも筆箱ごと忘れないようにしないとね?」
「え?はは、確かにそうだ。でも、今日の君に言われるとは思わなかった」
「あっ……そ、それもそうだね……」


(ありがとう)

大迫

「ん?教室の電気が点けっぱなし……おーい、誰かまだ残ってるのかー?」
「んあ……?わっ外真っ暗!……は、八時!?」
「どうした?居眠りしてたのかぁ?」
「せ、先生……わたし、今日の復習してたのに……」
「そうか、感心感心!でも女子が居眠りして遅くまで学校にいるのはいかん」
「はい……すみません……」
「よし、じゃあ施錠するぞ」
「はいっ。……わ、廊下、真っ暗ですね……」
「そりゃあもう夜だからなあ」
「先生……」
「んー?」
「あ、あの……手を握ってもいいですか?」


(手を繋ごう)

20110710再掲

2010年11月17日〜分

title from love is a moment