拍手お礼詰め合わせ



若返っちまったとかそういうパラレル(SRWA)

「どうするよ…」
「どうするも何も…」
「……あいつらは楽しそうだけどな」
「いや、今敵に攻めてこられたらひとたまりもないぞ…」

アーガマ、ただいま混乱中。その原因はロンド・ベルのエースパイロットにある。
先の会話はケーン、一矢、ドモン、リョウの間でこっそりと繰り広げられていた。こっそり、というのは女性陣のテンションの高さについていけないせいでもある。

「かわいい!やだ本当かわいい!」
「目つきとか変わらないんですね…」
「おなかすいてませんか?何でもありますよ?」
「かわいい…けど、なんでこんなことになっちゃったんでしょうね?アムロさん?」

「……俺が知りたいよ」

憮然とした声はいつもよりも高く、更に高い歓声が周りの女性陣から上がる。
かわいいかわいいと言われて不機嫌なようだが、アムロ自身は困惑しているというほうが正しいかもしれない。
『朝起きたら、こうなっていた』
そう言いながらブリッジに現れたのが一時間ほど前。当然のごとくブライトやノインは目を点にしたし、他のメンバーも最初は同じような反応だった。
だが、待てど暮らせど元に戻る気配はない。ブライトは戦力低下だと言って頭を抱えているが、主にジェーンやナナたちは普段大人びているアムロが自分よりも幼くなったのが何故か嬉しいらしい。
そして冒頭の会話を繰り広げた少年達はそれがちょっと、

「(うらやましい……)」

口には、出さないけれど。

藤原 忍

「というわけでねぇ、もうそれは命からがら」
「おう」
「ちょっと、聞いてるの?」
「聞いてるよ」
「生返事」
「…うるせーな」
「聞いてないくせに」

忍が最近変だ。
くだらない話をする私も私なんだろうけど、最近ことに上の空である割合が増えてきた気がする。
何かむしゃくしゃして物にあたることはあっても、こんな風にぼんやりしていることは、まずない。
どうした藤原。お前の野生はいずこへ??

「……のど乾いた?ドリンク飲む?」
「おう」
「はい」

自分が持ってたドリンクを渡すと、忍は相変わらずの無表情で虚空を見上げながら喉を鳴らした。
ただ、どうしたものかと思っていた私の目の前で突然むせたのだけが想定外だった。

「げっほ!おま、!」
「え!?何!?大丈夫?」
「これお前が飲んでたヤツじゃねーかバカ!」
「え、うん、そうだけど…」
「ちょっとは慎みを持て!」
「はぁ?」

顔を真っ赤にして私を睨んでくる忍の背中をさすりながら、私はちょっと考えて。
忍の口から「慎み」なんて言葉が出てきたことと、
間接キスの相手として盛大に動揺させられたのがなんだか嬉しくて、
私の笑い声が格納庫に響いた。

アクセル・アルマー

「ジェーンちゃーん……あら、寝てる」

せっかくユリカさんの焼いたケーキ持ってきたのに。
娯楽室のソファに仰向けになってくぅくぅ寝息を立てている。
いやぁ、本当に、黙っていれば天使。かわいいのに。
口をひらけば俺のことをアホだのバカだの罵って。
いや、実にかわいらしい。
思わず座り込んでまじまじと見てしまう俺、ちょっと変質者?
いやいや違う。
これはほら、アレだ。
生まれたての赤ん坊が可愛くてしょうがない父親の行動じゃないか。
そうそう。
ほら俺ってばいつもジェーンの面倒見てるし?
妹みたいに思ってるし?

「………。」


前言撤回。

寝てる間に、なんて俺も卑怯。
焼きが回ったモンです。

20110710 再掲

いつのだか不明